- ヘルマンハープを知る旅 第1回 - 






ヘルマンハープの演奏をはじめて聴いた教会

ヘルマンハープの演奏をはじめて聴いた教会

  

障がい者もともに聖歌を奏でる

障がい者もともに聖歌を奏でる

旅のはじまり

 2003年にヘルマンハープに出会い、ドイツで初めて聴いた教会のコンサート。季節はクリスマス。詳しく言えば、クリスマスの手前の日曜日から4週間さかのぼった11月末の日曜日。町はアドベントという待降節のシーズンに入り、町中が飾りのもみの木のツーンと冴えた香りに包まれる。

  ミサはパイプオルガンと室内オーケストラ、そしてヘルマンハープのアンサンブルにかわるがわる乗せて進んでいった。持続音で人の心を先導するパイプオルガンの荘厳な響きにきらびやかなオーケストラ楽器、そこに長く音を漂わせながら空気に消えてゆくヘルマンハープの音が取って代わる。ヘルマンハープを奏でているのは女性、男性、障がい者、健常者、少年少女、高齢者などなど。異なる特徴を持つ人々が、誰もが「ヘルマンハープを弾いている私はステキ」だという自信にあふれて聖歌を演奏していた。

 音楽経験、障がいの有無、年齢などさまざまな人がともに演奏するとき、私はそれまで、それぞれが演奏することのできる異なる楽器を手にすることが普通だと思っていた。が、目の前にそれを覆す光景が広がっている。流れてくるヘルマンハープの音色はどこまでもやさしく、美しく、耳を傾けながら、ダウン症の息子さんのためにこの楽器を生み出したヘルマン・フェー氏の親の心の偉大さに、声を失った。

 この真実の物語が、世に伝えられるようにと願わずにはいられなかった。どんなに時代を経ても、このヘルマンハープ発祥の真実の物語は、間違いなく人類の宝であり続ける物語である。なぜなら、この物語に多くの人々が、「慈愛」や「人を信じること」を、そして「自分さえも受け入れてもらえること」を、なぜだか確信するからである。

 「古代にさかのぼれば、ハープはもともと狩猟のときの弓を弾いていたのがその発祥。文明の発達とともに、人類は楽器を能力のあるものだけが、演奏しやすいものへと進化させてきた。その時間の軸をさかのぼったのがヘルマンハープだった」とヘルマンさんは教えてくれた…。

つづく (ヘルマンハープを知る旅 第2回へ)